第15回:殺戮謝肉祭 ~屍肉の晩餐~

第15回:殺戮謝肉祭 ~屍肉の晩餐~

フランスなんていう国がゾンビ映画を作ったら
こんなにも耽美でオシャレなゾンビ映画ができるのである

殺戮謝肉祭 ~屍肉の晩餐~ (原題:LES RAISINS DE LA MORT)
1978年フランス 85分
監督:ジャン・ローラン

 

いやあ実にフランス映画なゾンビである。
恋人に会いに行くために乗った列車で顔が腐った男を発見
時を同じくして友人の死体も発見しこの男が犯人だと慌てて電車を止め逃げ出す。
助けを求めに入った家の主もやはり腐り始めててこの腐った人間からどんどん逃げるお話。
次から次へと出てくる腐った人間から逃げ続けることが逃げられないホラー映画の宿命。
オチとしては腐ってない人間の手引で恋人に会うことができたが……。
おっとつい書ききってしまうところでした。まったく期待しない上で本編をご覧ください。
は?という気持ちと突っ込みが溢れ出てくることでしょう。

 

しかしフランス映画というのはこんなB級ホラーでもオシャレです。
舞台となるのがフランスの片田舎のワインの村というだけでもうこんな場所

ただ内容はこれぞB級と言った具合です。
ゾンビとは言うものの低知能で人間を食べるというわけでもなく、何らかに感染した風貌で
ちゃんと会話もできるものの(成立してるとは言ってない)何故か殺す。ホントに何故か殺す。
特殊メイクもとってつけたような感じでお世辞にも特殊メイクとは呼べない。そんな感じです。
しかしこの映画のすばらしいところは全編に渡るフランス映画感です。
フランス映画なので当たり前ですが。
耽美というかロマンチックというかそんなところです。

 

残酷シーンとして一番有名なのはここでしょう。

主人公が途中で出会う盲目の女性、彼女をゾンビ化した恋人が殺した上に首を切り取るところです。
斧を突き立てる瞬間こそありませんが(それをみせるところまでの技術はこの当時はなかった)
美しいブロンド白人女性の首が切られ血が吹き出る様は一部の人にはグッとくるところでもありますし

その後その恋人が死ぬ間際大事に持ってたその生首とキスをするんです。
もうここさえ見たらこの映画の全てと言っても過言ではない象徴的なシーンですね。

 

DVDはヘア無修正完全版と謳ってますが、ヘアが出るシーンはごくごく僅かです。
フランス映画らしくおっぱいはそこそこ出てきますがこれがなんとも艶かしくそして美しい。
イタリアだったらジャーロといわれるようなあの雰囲気です。
最後のカットも

実に芸術的です。
シナリオと特殊メイクはこれでもかとB級ですが全体が醸し出す雰囲気が余りにもよかったので
これはB級映画フリークなら見ておくべき一作かもしれません。
ちなみにこの映画、原題を英語で言うとThe Grapes of Death
今邦題が付けられたらさしずめワイン・オブ・ザ・デッドというところでしょうか。
殺戮謝肉祭なんていう素敵な邦題が付けられたのも80年代に上陸してよかったとしか言えませんね。

 

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