第23回:サンゲリア2

ゾンビの勝手に続編の原題がzombi2でサンゲリア
サンゲリア2の原題はzombi3でゾンビ3とは別

サンゲリア2 (原題:Zombi3)
1988年イタリア 90分
監督:ルチオ・フルチ、ブルーノ・マッティ(ヴィンセント・ドーン)
脚本:クラウディオ・フラガッソ

 

ひじょうにややこしい。

 

ゾンビの勝手に続編としてルチオ・フルチが作ったサンゲリアの原題はZombi2
イタリア亜流ゾンビとしてサンゲリアの特殊メイク担当が参加した
NIGHTS OF TERRORの邦題がゾンビ3
サンゲリアの続編としてルチオ・フルチが監督した本作サンゲリア2の原題はZombi3。
実際はルチオ・フルチはクランクイン直前に倒れてしまったため
本作を実質監督したヴィンセント・ドーンはイタリアの悪名高き亜流メインB級映画監督で
(ブルーノ・マッティというのは彼の変名だ。これらの名前を見つけたときは要注意するくらい鍛えられた)
過去にヘル・オブ・ザ・リビングデッドという亜流ゾンビ映画を撮っているのだが。
この映画とよく似てるしなんならゾンビの格闘スタイルはまさに同一である。
なんならゾンビ4という邦題の映画もあるがその監督は本作の脚本クラウディオ・フラガッソだ。
ややこしすぎるだろどう考えても。

 

先にも書いたが本作はクランクイン直前に倒れたルチオ・フルチのエッセンスは木っ端微塵だ。
あのルチオ・フルチであればという思いで見ると、なんだこれ単なるB級映画じゃないかとなる。
そう、ヴィンセント・ドーンが全て染め上げてしまっているのである。
どこかで見たような造形、どこかで聞いたようなシナリオ。
どう考えてもサンゲリアの冠に泥を塗っている。

 

まあそれでもひねりだしていいところを挙げたいがそれもやっぱり二番煎じポイントだ。

冷蔵庫を開けると襲いかかってくる生首ゾンビ


感染した妊婦のお腹から襲いかかる胎児ゾンビ

うーんどれもこの手のイタリアの監督なら撮りそうな画の上に演出は稚拙だ。
しかも感染経路(ゾンビ化しちゃう薬品が運搬中に事故で……ってやつ)もそうだし
これは完全にバタリアンだ。コメディ要素のないバタリアンのパクりオマージュだ。
(ちなみにバタリアンの原題はRETURN OF THE LIVING DEADでロメロのナイト・オブ・ザ・リビングデッドのオマージュ)

 

いや、あった。あったぞ。
この映画のエッセンスとしてよかったのは鳥もゾンビ化すること。
そりゃばら撒かれたゾンビ化する薬品がかかれば人間以外でもゾンビ化するよな。

それでも演出は稚拙ではある。

それと物語の要所要所でラジオDJが状況説明をしてくれるシーンがあったりするのだが
(とはいえ狂言回しをするという程の強さではない)
そのDJが最後ゾンビ化するというオチはベタであれどこうでもしないとどうにも締まらない。

そういう意味ではなくてはならないともいえる。
しかしあれだな。本家ロメロですらいっぱいパクりオマージュしてるな。
最後男女がヘリで逃げるシーンはゾンビだし白装束はザ・クレイジーズだし
ありとあらゆるものを継ぎ合わせて作った亜流オブ亜流の映画だ。
さすがのルチオ・フルチもこんな映画にいじられちゃあ化けて出てきてもいいだろ。
いやむしろゾンビとして復活してヴィンセント・ドーンを食うオチが欲しい。

 

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